法学部の学生から見た弁護士の先生

私が法学部の学生だった頃、無料法律相談部という部活に所属していました。
平日は毎日、法律相談の受け付けをしていました。無料でしたので、学内の学生、職員から、外部の方まで広くご利用いただいていました。

相談者が来ると、まず学生だけで相談内容をうかがいます。教授が回答を出すために必要な情報を聞き出します。
例えば遺産相続だったら、相続人の数や遺言の有無などです。相談者から聞き出した情報をまとめて弁護士資格を持つ教授に相談し、別日に席を設けて、教授から直接相談者にお話しいただきます。

ある日、離婚のことで相談に来た女性がいらっしゃいました。お子さんがいる方で、子どもの親権は渡したくないという相談内容でした。
お子さんの人数や年齢といった情報は教えてくれました。しかし、離婚に至らんとする理由についてはなかなか教えてくれませんでした。

あまり時間をくうわけにもいかないので、中途半端だとは思いつつ、教授に引き継ぎました。元裁判官の年配の教授でした。
すると、教授が前に座った瞬間からその女性の表情は緩み、色々と話してくれました。女性の話を教授は遮ることなく穏やかに聞いていました。
教授は、一瞬にして他人から信用され、話しやすい雰囲気を作ったのです。

法律相談は、相談者が話してくれなければ正しい判断はできません。司法判断をするだけが、弁護士ではないということを痛烈に感じた出来事でした。そして、法律相談して話しにくい弁護士だったら、相性が悪かったと思って他の弁護士をあたったほうが、いいお仕事をしてくれるのではないかと思っております。